負担付死因贈与と相続税に関するQ&A
負担付死因贈与とはなんですか?
贈与には色々な種類がありますが、その中の1つに、負担付死因贈与というものがあります。
「負担付死因贈与」とは少し難しそうな言葉ですが、この言葉は3つの要素に分けられます。
まず分かりやすいのは「贈与」の部分です。
「贈与」とは、無償で財産を譲渡することを指します。
次に「負担」とは、贈与に何らかの条件が付くことを指します。
具体例を挙げると、お父さんが息子に対して「自宅の土地と建物を贈与するから、代わりに残りのローンは払って欲しい」というようなケースがあります。
このような契約を「負担付贈与」と言います。
最後に「死因」とは、契約の効力発生時期を、贈与者が亡くなった時点とするものです。
「お父さんが亡くなったら、自宅の土地と建物を贈与するから、代わりに残りのローンを支払って欲しい」という内容の契約であれば、負担付死因贈与ということになります。
以上3つをまとめると、死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与をいいます。
死因贈与も贈与契約の一種ですので、死因贈与契約とは、贈与者が受贈者との間で贈与者の生前に契約を締結し、贈与者が死亡することを条件として効力を生じる契約のことをいいます。
そして、負担付死因贈与契約とは、受贈者に対して財産を死因贈与するのと引き換えに、受贈者に一定の負担や義務を負わせる契約のことをいいます。
贈与者が死亡すると死因贈与契約の効力が生じ、受贈者は、相続財産を取得する権利を得るのと同時に、一定の負担や義務を負うこととなります。
負担付死因贈与は相続税の課税対象となりますか?
たとえば、お父さんが長男に自宅の土地や建物を贈与すれば、その時に財産権が移転するため、贈与した時点で贈与税の課税対象になります。
しかし、負担付死因贈与契約では、契約時点ではまだ財産権が移転していないため、贈与税が課税されません。
負担付死因贈与契約により財産権が移転するのは、お父さんが亡くなった時点になります。
このように、亡くなった時点で死因贈与契約の効力が発生するため、遺言書などで財産権を移転させたのと同じ効力があります。
そこで、負担付死因贈与をした場合は、相続税の課税対象になります。
負担付死因贈与の注意点はなんですか?
負担付死因贈与契約をする場合で、贈与を受ける人が相続人以外の場合には、相続税が2割加算されることになります。
そのため、例えばお父さんが長男の妻に介護などのお世話をしてもらっていた場合に、「今後も介護などのお世話をしてくれるなら、自分が亡くなった時には長男の妻に1000万円を贈与する」といった契約をすると、長男に1000万円を渡す時と比べて、相続税が高くなってしまいます。
また、仮にこういった契約をするのであれば、贈与の対象や負担の内容について、きちんと契約書などで決めておかないと、無用なトラブルが起きる可能性があります。
無用なトラブル回避のためにも、贈与の対象や負担の内容について契約書で明確にしておくことが重要です。
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