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相続税と贈与税の違い
1 贈与税には相続税を補助する制度という一面がある
日本には、「相続税法」という法律はありますが、「贈与税法」という法律はありません。
「相続税法」の中に、贈与税に関する規定も含まれているという形式になっています。
このような法律の形になっている理由として、贈与税の制度が、相続税逃れを防止する役割を持っている点という点が挙げられます。
相続税は、亡くなった時に存在した遺産に対して課税されるものであるため、生前の間に、全財産を家族に移しておけば、相続税が課税されないという事態が起きてしまいます。
そこで、生前に財産を移した場合には贈与税を課税することで、相続税逃れを防いでいるのです。
2 相続税と贈与税は課税される時期が異なる
相続税は、人が亡くなって財産の相続が行われた際に課税される税金です。
そのため、例えば「長男に全財産を相続させる」という遺言書を作成しても、被相続人が存命のうちは、相続税は課税されません。
他方、贈与税は、被相続人が存命であっても、財産を贈与した時点で税金が課されることになります。
3 相続税と贈与税は基礎控除額が異なる
相続した財産、あるいは贈与された財産が基礎控除以下であれば、税金が課税されません。
相続税の基礎控除は、3000万円が基本で、ここに相続人の人数と600万円をかけた金額が加算されます。
たとえば、相続人が4名だと、3000万円に2400万円を加えた5400万円が基礎控除になります。
他方、贈与税は年間110万円が基礎控除なので、1年間に受けた贈与が110万円以下であれば、贈与税は課されません。
4 相続税と贈与税にはそれぞれ特例制度がある
例えば、相続税であれば、配偶者が遺産を相続した場合、1億6000万円まで相続税が課税されないという特例があります。
また、亡くなった方が居住していた自宅を相続した場合に、相続税の負担を軽減する特例や、近い時期に複数回、相続税の申告をした場合に、相続税の負担を軽減する特例があります。
相続税の小規模宅地等の特例については、こちらをご覧ください。
他方、贈与税には、配偶者に居住用の不動産を贈与する場合に、贈与税の負担を軽減する特例があります。
他にも、子や孫にマイホーム購入資金を援助した場合に贈与税の負担を軽減する特例があります。
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