「相続税の制度」に関するお役立ち情報
相続税の連帯納付義務とは
1 相続税の落とし穴
税金については、本来、自身が負担すべきものを負担すれば、それ以上に税金を納めなければならないことはないはずです。
他の人が負担すべき税金については、負担を求められることはないというのは、原則的な考え方です。
ところが、相続税については、事情が異なります。
相続税については、連帯納付義務が設けられており、他の相続人等が納付しなかった相続税についても、納付を求められる可能性があります。
このように、相続税には、連帯納付義務という落とし穴があります。
相続税の納付を検討するにあたっては、他の相続人等がきちんと納付するかどうかについても、注意する必要があることとなります。
2 連帯納付義務とは
相続税は、各自が取得した財産に応じて、課税される税金です。
このため、本来、各自が取得した財産に対応する税金に限り、相続税を納付すれば良いこととなります。
しかし、実際には、相続税には、先述のとおり、連帯納付義務が設けられています。
このため、他の相続人等が相続税を納付しなかった場合、この納付されなかった相続税についても、ご自身で納付しなければならなくなってしまいます。
連帯納付分を納付しなかった場合には、最悪の場合、ご自身の財産に対して差押がなされ、強制的に回収がなされてしまうおそれがあります。
また、連帯納付義務に基づき、他の相続人等の相続税を納付した場合には、本来の納付義務を負っていた相続人等に対し、求償することができます。
しかし、求償した時点で、本来、納付義務を負っていた相続人等が無資力になってしまっていると、求償分を回収することができないというリスクも生じてしまうこととなります。
このように、連帯納付義務は、履行したとしてもしなかったとしても、大きなリスクを負わなければならなくなるおそれがある制度であると言えます。
3 連帯納付義務の範囲
連帯納付義務は、無制限に負わなければならないわけではなく、一定の上限が求められています。
具体的には、ご自身が相続等で取得した財産額-ご自身に課税された相続税額か、連帯納付義務の上限となります。
このように、連帯納付義務には、上限が設けられているものの、その上限はかなり広いですので、かなりの負担を求められることとなってしまいます。
4 連帯納付義務への対処
連帯納付義務への対処法としては、他の相続人等が納付すべき相続税についても、きちんと納付がなされるよう、他の相続人等ときちんと調整を行っておくことが挙げられます。
とはいえ、他の相続人等が信頼できない人である場合には、このような調整が難航することもあり得るところです。
このような場合には、ご自身で連帯納付分の相続税も納付する前提に立ちつつも、最終的に連帯納付分を、本来の納付義務を負っていた相続人等から回収できる手立てを準備しておくとの対処法を用いざるを得ないこともあると思います。
たとえば、未分割の相続財産で、預金や有価証券が残っているのでしたら、連帯納付分を行った分だけ、ご自身が相続する相続財産を増額調整するといった対処法も考えられるところかと思います。
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