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個人事業主から法人化するメリット

  • 文責:所長 税理士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年5月23日

1 個人事業主と法人化

個人事業主の方で、事業が拡大し利益が増えてくると、法人化を考えることが多くなります。

また、逆に事業拡大のために法人化を考える方もいらっしゃいます。

法人は、個人事業主よりも顧客や取引先からの信頼を高めることができることが多いですので、法人化を考える方がいます。

他にも税金面から法人化する方も多いです。

ここでは、税金面から法人化にはどのようなメリットがあるのか説明していきます。

2 法人化と法人税及び所得税

個人事業の利益が増えると、所得税及び住民税の負担が増えます。

所得税は、累進課税制度が採用されており、最高税率は45%です。

住民税も含めると最大55%の税金が課されることになります。

他方で法人税は、所得が800万円以下であれば15%、800万円を超えた場合であれば23.2%の税率となり、それ以上どれだけ所得が増えても税率は変わりません。

法人住民税、地方法人税、法人事業税を加えた実効税率は、30%~33%程度です。

所得が800万円(課税所得が695万円を超え900万円以下)の場合には所得税は23%、住民税を加えると33%となるため、所得が800万円を超えてくれば、法人化を検討してもいいのではないでしょうか。

ただし、法人化した場合には、赤字でも一定金額法人住民税が発生してしまいます。

また、個人事業主であれば従業員数によっては社会保険に加入する必要がありませんが、法人化に伴い社会保険への加入義務が発生してしまいます。

ほかにも、法人税の申告書は所得税の申告書よりも作成すべき書類が多く、複雑な内容となるため、顧問税理士を雇う必要が出てくる可能性が高く、税理士費用の負担が大きくなりがちである等のデメリットがあります。

また、常に800万円以上の所得を安定的に得ることができるかどうかという問題もあります。

こうしたデメリットの存在も踏まえて、節税のために法人化するかどうかを慎重に検討する必要があるといえます。

3 法人化と消費税

個人事業においては、2期前の消費税の課税対象となる売上が1000万円を超えるか、1年前の前半の半年の消費税の課税対象となる売上が1000万円を超える場合に、消費税の納付の義務が生じます。

このため、開業した1年目については、2期前の売上が存在しないこととなるため、消費税の納税義務が生じないこととなり、開業した2年目についても、1年目の前半の半年の売上が1000万円を超えない場合には、消費税の納税義務が生じないこととなります。

法人と個人は、税金の計算においては、別人格となります。

このため、個人事業主が法人化すると、法人について上記のルールが適応され、法人化した1年目については、消費税の納税義務は発生しません。

また、法人化した2年目についても、1年目の前半の半年の売上が1000万円を超えない場合には、消費税の納付義務が発生しません。

法人化する前の個人事業時代の売上が1000万円を超えていたとしても、法人に上記のルールが適用され、新たに消費税の納付義務が発生しない、1年または2年の期間が設定されることとなります。

そのため、消費税の観点からは、個人事業で順調に売上が上がるタイミングで法人化し、消費税が発生しない期間を有効活用することをおすすめします。

ただし、令和5年10月1日からインボイス制度が開始されました。

インボイスを発行できる適格請求書発行事業者になるためには、前提として消費税の課税事業者となる必要があり、消費税の申告及び納付をする必要が生じてしまいます。

そのため、法人化した1年目と2年目についても、適格請求書発行事業者となった場合には、消費税を納付する義務が生じてしまいます。

今後は、取引先との関係上、適格請求書発行事業者とならざるを得ない場合も予想されるため、法人化の直後であっても、消費税の課税義業者となることを選択せざるを得なくなってしまう事態が生じることが予想されます。

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